第4回カクヨムWeb小説コンテスト キャラクター文芸部門特別賞を受賞し、本日発売となった『雲神様の箱』。
美しい昔の日本の風景が直に感じられるような表現力と、苦悩を抱える主人公が歴史を変えていくというワクワクする展開に心惹かれ、選考中に一気読みしてしまった作品です。
カドカワBOOKSが編集を担当していますが、角川文庫からの発売となっております。
今回は、ストーリーの出だしをちょっとだけご紹介させて頂きます!
書籍情報
『雲神様の箱』
著者:円堂豆子
カバーイラスト:苗村さとみ
角川文庫より刊行(※挿絵は入っておりません)
▼あらすじ
薬毒に長け、どの地の支配も受けず霊山を移り住む古の民、土雲の一族。一族の少女・セイレンはある日、『山をおり、雄日子(おひこ)という若王の守り人となれ』と里を追い出される。双子の妹という出自ゆえ「災いの子」とされてきた彼女は、本来求められた姉媛(あねひめ)の身代わりにされたのだ。
怒りと孤独を抱え里を飛び出したセイレン。しかし、類い稀な技を持つ彼女と、大王への叛逆を目論む雄日子の予期せぬ邂逅は、倭国の歴史を大きく変える運命の出会いとなるのだった……!
キャラクター&内容紹介漫画
漫画:太田優姫
『雲神様の箱』の内容や魅力をわかりやすく伝えるため、太田優姫先生に内容紹介用の漫画を描いて頂きました!
※書籍には挿絵等入っておりませんので、ご注意ください
孤独を抱えるセイレンと、大王への叛逆を目論む若王、雄日子。
二人の旅路がどんな結末を迎えるのか、気になります……!
Web連載版とは少し違う展開や読み味になっているため、Webで読んだことがあるかたも、ぜひ書籍をチェックしてみてくださいね。
プチ情報
主人公セイレンが属する『土雲の一族』は、本作のなかでも異色の存在として扱われています。
『土雲』はまったくの架空の存在ではなく、古事記や日本書紀にも実際に記載のある一族です。
その実体は明らかではないものの、「土蜘蛛(つちぐも)は、上古に天皇に恭順しなかった土豪たちである」というような記述も残っており、古の日本の地で、実際に生活をしていた人達なのだということがわかっています。
著者が、これらの『土蜘蛛』や『土雲』について、こういう一族もいたのではないかと想像力をを膨らませて出来たのが、この『雲神様の箱』という作品です。
担当編集も著者から聞き、へぇ~と日本の歴史に興味を持ちました。
そんな一族がいたのか~という新発見も面白いですし、舞台になっている土地も「これはあそこかな」と想像しながら読むと、普通に小説を読むよりも面白さに深みがでて、ついつい聖地巡礼してしまいたくなります。
本作は実際に存在していた一族や土地を舞台にしていることも影響しているのか、物語の1シーン1シーンの情景が目に浮かぶよう。世界に引き込まれていく大きな魅力があります。
作中では『土雲の一族』セイレンと若王・雄日子が手を組み、ともに大王へ反旗を翻していきますが、二人のもとに集まってくる仲間たちも、呪術に長けた者、馬飼の長など、非常に特徴的です。彼らがどんな人物たちなのか、日本の歴史を調べながら読んでみるのも面白いかもしれません。
購入&試し読みリンク集
▶カクヨム版無料連載(※書籍版は、こちらの連載を加筆修正したものです)